このページでは、『バイクの一時抹消で税金はどうなる?』、『原付は一時抹消できない?』の質問に回答したいと思います。
バイクの一時抹消について知りたい方は、是非、参考にしてみてください。
一時抹消とは何?永久抹消登録との違い
一時抹消とは、文字通り、一時的にバイクや車の使用を中止する手続きを言います。
正式名称(道路運送車両法において)は、一時抹消登録と言います。
手続きの場所は、管轄の運輸支局となっております。
この一時抹消に対して、永久抹消登録というのもあります。
これは一時抹消登録とは異なり、一時的にではなく、永久に抹消するため、二度とそのバイクや車を公道で走らせることができなくなります。
原付は一時抹消できない?税金はどうなる?
まず原付の一時抹消について解説します。
結論から申し上げますと、原付の一時抹消はできません。
ここで言う原付とは、道路運送車両法における原付を指し、125cc以下の二輪車を指します。
また、同じように農作業、雪かき、工場などで使われる小型特殊自動車の一時抹消もできません。
なぜ原付(125cc以下)及び小型特殊自動車の一時抹消ができないのかというと、その二つに関しては道路運送車両法において、一時抹消登録に定められていないからです。
一時抹消登録に関しては、道路運送車両法の第十六条に以下のように定められています。
(一時抹消登録)
第十六条 登録自動車の所有者は、前二条に規定する場合を除くほか、その自動車を運行の用に供することをやめたときは、一時抹消登録の申請をすることができる。
2 一時抹消登録を受けた自動車(国土交通省令で定めるものを除く。)の所有者は、次に掲げる場合には、その事由があつた日(当該事由が使用済自動車の解体である場合にあつては、解体報告記録がなされたことを知つた日)から十五日以内に、国土交通省令で定めるところにより、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
一 当該自動車が滅失し、解体し(整備又は改造のために解体する場合を除く。)、又は自動車の用途を廃止したとき。
二 当該自動車の車台が当該自動車の新規登録の際存したものでなくなつたとき。引用:道路運送車両法
上記を読んでみますと、自動車とあります。
道路運送車両法による区分において、125cc超~250cc以下の二輪車は「二輪の軽自動車(軽二輪)」、250cc超えの二輪車は「二輪の小型自動車(小型二輪)」として、自動車となりますが、125cc以下の二輪車は原付となります。
つまり、125cc以下の原付は一時抹消登録できる区分に入っていないということになります。
例えば、奈良県生駒市のホームページには、以下のように書かれています。
原動機付自転車・小型特殊自動車は、道路運送車両法に「一時抹消」が定められておりません。
引用:生駒市
同じように、愛知県知多市のホームページには、以下のように書かれています。
Q3)原動機付自転車を一時的に乗らない場合は、廃車手続きができますか。
A3)原動機付自転車及び小型特殊自動車については、登録の一時抹消について道路運送車両法に定められていないため、一時的に利用しないという理由での廃車手続きは受付することができません。引用:知多市
つまり、一時的に原付に乗らないという理由では、廃車はできないということです。
原付の廃車理由として認められるのは、以下のような場合です。
- もう原付に乗らないので処分するため(廃棄)
- 原付を他の人に譲るため(譲渡)
- 原付の主に使用する場所が他の市町村に異動したため(転出)
- 盗難・紛失により、原付が手元にないため(盗難・紛失)
- 原付の解体や滅失のため(その他)
上記の廃車理由を見ればわかりますが、もう一度、本人が同じ車両に乗るという選択肢はないものばかりです。
そのため、一度廃車した車両を同じ人は再登録できないことになっています。
愛知県犬山市のホームページには以下のように書かれています。
原動機付自転車と小型特殊自動車には、「一時抹消」をいう制度はありません。
たとえ使わない車両であったとしても、4月1日時点で所有していれば、軽自動車税(種別割)の課税対象となります。(公道を走行しない車両であっても同様です。)
廃車の手続きをしていたとしても、廃車処分や譲渡をせずに所有していた場合は、廃車手続きを無効とみなして引き続き課税します。
なお、一度廃車した車両を同じ人が再登録することはできません。引用:犬山市
知多市のホームページには以下のように書かれています。
Q4)3月に廃車手続きをした原動機付自転車を廃棄または譲渡しないでそのまま家に置いていました。廃車後は使用していませんがその車両を同一所有者(または使用者)が4月2日以降に再登録をしようとすると税金はかかりますか。
A4)廃車手続き後に廃棄または譲渡していない場合、使用していなくても賦課期日である4月1日に所有していたと判断し、3月に手続きをした廃車届は無効となり、引き続き課税されます。引用:知多市
原付の廃車手続きをした場合、同じ人が乗るようにするためには、手続きをした廃車届を無効にして、乗れるようにしているみたいです。
そのため、軽自動車税(種別割)は4月1日時点での所有者に対して課税されるのですが、その間だけ廃車手続きをして、その後、同じ人が再登録したとしても、手続きをした廃車届が無効となる訳ですから、当然、課税対象になるという訳です。
税金逃れの対策として、このようにしていると思われます。
125cc超のバイクは一時抹消できる?
上記の原付の一時抹消で記載した道路運送車両法の第十六条を読んで頂いた方であればわかると思いますが、125cc超のバイクは一時抹消ができます。
入院、海外転勤、仕事が忙しくなったなど、理由は何でもいいですが、しばらく間、バイクに乗る予定がなく、その期間が過ぎた後はもう一度バイクに乗る場合は、一時抹消するのがオススメです。
なぜなら、一時抹消することでいくつかのメリットがあるからです。
バイクを一時抹消する最大のメリットは税金が掛からないこと
上記でしばらくの間バイクに乗らないのであれば、一時抹消することでいくつかメリットがあると書きましたが、その最大のメリットは税金が掛からないことです。
以下、バイクを一時抹消するメリットを解説したいと思います。
軽自動車税が掛からない
軽自動車税は毎年4月1日に課せられる税金ですが、4月1日の時点で一時抹消の手続きが済んでいれば、その年の軽自動車税は掛かりません。
軽自動車税の税率は車種区分(排気量等)によって異なり、基本的には排気量が多いと税率が高いです。
数千円の税率ですが、一時抹消しないと、バイクに乗らないのに支払わないといけないので、損した気分になります。
具体的な税率や支払時期、滞納・払い忘れたらどうなるかなどは、下記のページを参照してください。
自賠責保険・任意保険の払戻金を受け取れる
自賠責保険・任意保険を途中解約すると、解約日から、保険満期日までの期間に応じて払戻金を受け取ることができます。
また任意保険は解約ではなく、中断することもでき、その場合、中断した時と同じ等級からバイク保険の再開が可能で、有効期限は10年間あります。
ちなみに、一時抹消登録すると、10年でも20年でも、間を空けて再登録できるため、解約よりも中断の方がお得です。
一時抹消したバイクは再登録できる
一時抹消なので当然なのですが、再登録できるのもメリットの一つです。
これが永久抹消だと、再登録はできません。
バイクを一時抹消する最大のデメリットは面倒なこと
バイクを一時抹消する最大のデメリットは面倒なことです。
以下、バイクを一時抹消するデメリットを解説したいと思います。
面倒
バイクを一時抹消するのは、結構、面倒です。
下記で説明しますが、必要書類やナンバープレート等を持参して、運輸支局で手続きする必要があります。
特に初めての場合は、わからないことも多いため、調べるだけで一苦労すると思います。
諸費用が掛かる
バイクの一時抹消において、125cc超、250cc以下の排気量であれば、手数料は掛かりません。
ですが、排気量が250ccを超えるバイクに関しては検査登録印紙350円が必要になってきます。
当然、運輸局まで行くのにも交通費も掛かります。
また、再登録する際にもナンバープレート代や諸費用が必要です。
運転できなくなる
当たり前なのですが、一時抹消すると、その期間はそのバイクでの運転ができなくなります。
しばらく乗らないと思っていたけれど、やっぱり、乗りたいとなった時にまた再登録する必要があります。
車検が切れる
これは250cc超の車検のあるバイク限定ですが、一時抹消すると、残っている車検の有効期間がなくなってしまいます。
車検切れのバイクを再び走らせるためには、再び車検を受ける必要があるので、仮ナンバーを取得して車検場まで行ったり、バイク屋に頼んで運送してもらったりと、やはり、手間が掛かります。
125cc~250ccのバイクの一時抹消に必要な書類
125cc~250ccのバイクの一時抹消に必要な書類は以下の通りです。
- 軽自動車届出済証
- ナンバープレート ※盗難・遺失により返納できない場合は、警察への届出及び理由書の提出が必要
- 申請書(OCR申請書 軽二輪第5号様式)
- 手数料納付書(※手数料不要)
- 使用者の記名がある委任状(代理人申請の場合)《委任状に替えて申請書に記名でも可》
- 軽自動車届出済証の記載内容と現在の住所や氏名・名称が変わっている場合は、個人番号(マイナンバー)の記載されていない住民票(個人)または商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書等(法人)
申請書は、以下の国土交通省のホームページからダウンロードできます。
また、運輸支局でも配布されています。
手数料納付書も運輸支局にあります。
250cc超のバイクの一時抹消に必要な書類
250cc超のバイクの一時抹消に必要な書類は以下の通りです。
- 自動車検査証
- ナンバープレート ※盗難・遺失により返納できない場合は、警察への届出及び理由書の提出が必要
- 申請書(OCR申請書第3号様式の2)
- 手数料納付書(検査登録印紙350円)
- 使用者の記名がある委任状(代理人申請の場合)《委任状に替えて申請書に記名でも可》
- 自動車検査証の記載内容と現在の住所が変わっている場合は、個人番号(マイナンバー)の記載されていない住民票(個人)、名字が変わっている場合は戸籍謄(抄)本(個人)、法人で会社名や所在地が変わっている場合は商業登記簿謄(抄)本又は登記事項証明書等(法人)
申請書は、以下の国土交通省のホームページからダウンロードできます。
また、運輸支局でも配布されています。
手数料納付書も運輸支局にあります。
再びバイクに乗るかわからないのであれば売却も考える
バイクの一時抹消は、再び乗るから意味があり、乗るかわからないのであれば、売却も検討しましょう。
特に長期間バイクに乗らずにメンテナンスもできないのであれば、どんどんとバイクの価値が下がってしまい、結果的に損してしまいます。
それならば今すぐに売って、保険料の払戻金を得て、税金も支払わないというのが得策です。